2001.09.12 : 平成13年第3回定例会

【2番(中島資浩議員)】 順次総括質問をさせていただきます。

 まず初めに、市町村合併についてお尋ねいたします。去る8月9日の前橋広域圏5市町村長による、いわゆる弥彦会談以来、ここ1カ月急速に合併をめぐる動きが活発化してまいりました。これは、一つには合併特例法の施行期限が余すところ、およそ3年半と迫っていることによるものと思われます。前橋市の合併の手続及びスケジュールイメージでも、平成14年度から15年度にかけて合意形成を行い、16年度は手続を進めるとされておりますが、特例法の施行期限内の円滑な合併の実現を期待するものであります。

 さて、合併を考える場合、将来を見据えて1足す1が2より大きくなるとなり得るパターンを模索するべきであり、合併の対象とする市町村との結びつきの強さ、あるいは互いの交流度など重要なポイントにまず着眼する必要があると思われます。具体的には生活圏や商圏、通勤通学圏等において交流が多く見られるかどうかなどの点が判断基準になると考えます。市長は、合併について一貫して広域圏の枠にとらわれることなく、熟度の高い自治体と順次とのスタンスをとってまいりましたが、先月末の新聞紙上によりますと、広域圏以外の合併対象として、具体的に榛東村、吉岡町、群馬町、玉村町の名前を挙げております。この記事を見る限り、いささか唐突であるように思えてなりません。合併対象といたしましては、基本的にはまず隣接するすべての市町村を検討の対象にするべきであると思います。そして、これを前提に今年度内をめどに合併の本質に照らして諸条件を挙げ、内部で十分な検討を行う必要があると考えますが、当局のお考えをお伺いいたします。

 次に、景観の保護についてお尋ねいたします。私は、旧前橋駅舎を何らかの形で残せなかったことを大変残念に思っています。旧前橋駅舎は、県庁昭和庁舎、群馬会館と同様に昭和初期に建てられ、東京駅を模したと言われるヨーロッパ中世の建物を思わせるたたずまいで、多くの市民に親しまれておりました。その大変個性的な表情の旧前橋駅舎は、前橋の玄関口であるとともに、まさに前橋の顔でありました。また、文化財的価値もあり、大きな観光資源にもなったものと思います。私は、この過ちを二度と繰り返してはいけないと思います。前橋には、まだまだ前橋の歴史を象徴する魅力的な建物がたくさんあります。前橋駅前や県立図書館隣にある上毛倉庫あるいは中心市街地には前橋で最初にできた麻屋デパートもその原形をとどめております。私は、こういった前橋の魅力とも言える建物を前橋の貴重な財産として残し、まちづくりに生かしていく必要があると思いますが、当局のお考えをお聞かせください。

 また、前橋の魅力の一つとして、広瀬川や前橋駅から県庁まで続くケヤキ並木が挙げられます。しかし、残念ながら、その魅力を生かし切れていないと思います。前橋駅から県庁まで続くケヤキ並木は、有名な東京の表参道のケヤキ並木に匹敵する景観を呈しておりますが、金融機関などの建物が多く、土日はほとんど閉店状態で、人が集まりにくい状況となっております。また、広瀬川に関しては、遊歩道整備はされているものの、まち並みが統一的に整備されておらず、前橋市民ですら広瀬川沿いを歩くことが余りないのが現状で、その魅力に気づかない市民の方も多いのではないかと思います。私は、この貴重なケヤキ並木、広瀬川を生かしたまちづくりで、その魅力が見直され、中心市街地の活性化にもつながるものと考えておりますが、ケヤキ並木の景観を生かしたまちづくりの取り組みと広瀬川を生かした整備計画についてお尋ねいたします。

 次に、本市所有土地、施設の有効活用についてお尋ねいたします。まず初めに、旧消防本部庁舎についてであります。現在旧消防本部庁舎は、本年11月に本県開催が予定されております国民文化祭に向けて、前橋市の事業の中で前橋芸術会館として使用されておりますが、これは国民文化祭までの期間に限定されたものと伺っております。しかし、旧消防本部庁舎を訪れる福祉関係者、ハンディを持った方々を初めとする多くの市民の中には、市民の交流の場として庁舎をぜひ残してほしいとの声も多く聞かれています。つきましては、この庁舎を残すこととし、利活用につきましては市民参加のもと、知恵を出し合いながら、よりよい方法を考えてみてはと思いますが、当局のお考えをお伺いいたします。

 次に、ボランティアセンターについてお尋ねいたします。現在敷島のボランティアセンターは、利用しやすい施設として市民の方々から大変喜ばれておりますが、総合福祉会館、仮称ではありますが、が完成した折には、同会館内に移転することになっております。しかし、現ボランティアセンター跡地は前橋市土地開発公社経営健全化計画の中で処分の予定と伺っておりますが、敷島の大変安全な住宅街の中にあり、また敷島公園やばら園なども近く、環境が極めて良好であることから、この跡地をハンディを持つ人たちと高齢者や子供たちを初めとする市民の交流の場としてぜひ使わせてもらえないかと願っている方々が多くいらっしゃいます。介護保険制度の導入によって、高齢者福祉はかなり充実してきたと言えると思いますが、ハンディを持った方々に対する自立支援は必ずしも十分とは言えないものと考えます。だれもが平等に持っている生きる権利を尊重する共生都市前橋を築くために、また障害者福祉のさらなる充実を図っていくために、現ボランティアセンター跡地をその第一歩として、ハンディを持った方々のために開放されてはいかがかと思いますが、当局のお考えをお聞かせください。

 最後に、東地区の都市基盤整備についてお尋ねいたします。先ほど梅山議員さんが東地区の区画整理事業や都市計画道路建設の見通しについて質問されましたが、現在の厳しい財政状況からかなり難しい状況であるとのご答弁でありました。しかし、東地区は前橋と高崎の中間点にあり、新前橋駅や関越自動車道前橋インターチェンジにもほど近いという好立地条件を反映して、現在の市域となった昭和42年5月から先月までの人口、世帯数の増加率はそれぞれ約3.3倍、約4.9倍となっております。各地区別では最も高い伸び率となっております。また、東地区は都市基盤整備のおくれから、民間のミニ開発で大変狭い道がさらに先に延び、徐々に田畑が宅地化している現状です。住民の方々の中には、仮に急患が出た場合、あるいは火災や災害が発生したとしても、救急車や消防車などの緊急車両の通行に支障を来すなど、不安視する声も多く聞かれます。区画整理事業や都市計画道路の建設がめどが立たない場合、せめて生活道路を整備するなど早急に何らかの対策を施す必要があると考えますが、当局はこの現状をどのようにとらえ、また今後どのように取り組まれるか、当局のお考えをお伺いいたしまして、第1回目の質問を終わります。

【市長公室長(宮地英征)】 隣接するすべての市町村との合併に関して、まず市の内部で検討してみる必要があるのではないかとのご質問でございますが、合併は住民サービスの向上や行財政基盤の強化等を目的に行うものでございます。行政のために行うものではなく、そこに住む住民の皆さんのために行うものと考えております。したがいまして、合併を検討する際にはそのような視点から幅広い検討を行うべきものと考えております。このようなことから、本市で設置した市町村合併検討委員会の検討対象も近隣市町村であり、本市に近接する市町村がすべて検討の対象となります。今後この検討委員会の中で幅広く検討を行い、本市に隣接する市町村からの申し入れがあったときに備えたいと考えております。

【都市計画部長(細野茂夫)】 魅力ある建物を生かしたまちづくりにつきましては、その必要性を認識しております。前橋市都市景観条例によりまして、都市景観をつくる上で重要な価値があると認められる建築物を景観形成建築物として指定をして、維持保全に要する経費については助成をするという制度を設けております。 なお、市内の近代建造物を中心に調査を実施しております。現在のところ景観形成建築物として指定するところまでには至っておりませんけれども、今後は指定も含めまして魅力ある建物を保存、活用したまちづくりに努めていきたいと考えております。

 続きまして、ケヤキ並木を生かしたまちづくりについてでございますが、魅力ある景観を生かしたまちづくりの手法としまして、景観形成モデル地区を指定しまして景観形成の推進を図っていきたいというふうに考えております。現在このモデル地区の候補地として14地区を選定しておりまして、その中で特に前橋の顔となり得るケヤキ通り地区を景観上重要な地区というふうにとらえまして、1番目の景観形成モデル地区の指定に向けまして、地元の皆さん方と協議を進めているという状況でございます。

【市長公室長(宮地英征)】 広瀬川を生かした整備でございますが、前橋市中心市街地活性化基本計画では、本市の市街地の中心部を豊かに流れる広瀬川河畔を前橋市にふさわしい文化の薫りと潤いと安らぎのある都市空間として整備し、水と緑と詩のまち前橋として象徴的なゾーンとするとあります。さらに、中心市街地の拠点整備と連動した質の高い歩行空間を確保し、中心市街地内での回遊性を高めるとしております。したがいまして、都市の潤いをつくり出す広瀬川の自然景観、詩のまちである文学館、詩碑等の文化などをさらに生かした整備を検討してまいりたいと思っております。

【総務部長(齋藤亨光)】 旧消防庁舎をボランティア団体等の活動拠点として開放してはということでありますが、旧消防庁舎につきましては現在国民文化祭に向け、一時的に利用されておりますが、昭和34年11月に建設以来、42年を経過をしており、老朽化も著しく、水道などの設備につきましても水漏れ等の問題、また望楼等、防災上にも問題がありますので、このままの使用は困難かと思われます。したがいまして、早い時期の取り壊しを検討しております。

 なお、跡地につきましては、官公庁と中心商店街との中間に位置しており、国道17号と50号の起点とが交わる場所でもありますことから、周辺の計画とも整合させながら、民間による有効活用を含めて検討し、地域づくりに役立てるよう努めてまいりたいと考えております。

 次に、ボランティアセンター移転後の跡地をハンディを持った方々のために有効活用するということでありますが、確かにそういうお考えもあろうかと思いますが、この建物は昭和50年に建設されたもので老朽化も著しく、本格利用ということになりますと、耐震補強ということも考えられ、さらに利用に見合った改修に多額の費用が必要となります。私どもといたしましては、厳しい財政状況の中で未利用となっている市有地の処分を進めているところであり、ご質問にもありましたとおり、土地開発公社の経営健全化計画に合わせ、市が引き取った後は旧競輪選手宿舎と一緒に解体をし、民間企業などへ売却処分し、財源確保を図りたいというふうに考えております。

【建設部長(高橋利三郎)】 生活道路の整備でありますが、生活道路は日常生活の安全性、利便性の向上及び快適な生活環境の確保を図るための重要な社会資本の一つであります。その整備につきましては数多くの要望がありますが、昨今の厳しい財政状況の中、投資効果の高い事業を重点的に実施することによる、事業の効率性、コストの縮減、事業効果や必要性の評価及び透明性の向上などを図りながら、効果的、効率的に進めてまいりたいと考えております。

 また、東地区につきましてはミニ開発が進み、狭隘道路が点在していることは承知しております。生活道路の整備が必要とのことでございますが、沿道の皆さんのご意見などをいただきながら、公共性、緊急性及び費用対効果などを勘案し、補助事業などの取り組みを検討し、安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。何点かにつきまして、さらに質問させていただきます。

 まず初めに、高崎市との合併についてお尋ねいたします。生活圏という観点に立って考えると、ご案内のとおり、今や前橋市と高崎市とはほとんど同一の生活圏と言って過言ではないと思います。国勢調査によれば、前橋市に移入、移出する通勤、通学者数は、高崎市が数値的にも割合的にも最も多く、前橋市との結びつきが強いと言えます。仮に前橋、高崎両市の合併が実現すれば、人口は約53万人となります。先月30日に行われた政府市町村合併支援本部が決定した市町村合併支援プランでは、合併特例法施行期限内に合併した自治体については、政令市の指定要件を緩和し、80万人以上の目安を70万人以上をめどに引き下げることになりました。したがいまして、さらなる周辺市町村との合併によっては、中核市のみならず、政令指定都市も視野に入ってまいります。政令指定都市となった場合、現在の都道府県権限の8割から9割が移譲されるだけでなく、税源移譲による自主財源の確保にもつながりますので、大変大きなメリットであると言えます。以上申し上げました観点から、高崎市との合併について検討の必要があると考えますが、当局の考えをお聞かせください。

 次に、景観の保護についてお尋ねいたします。先ほどのご答弁では、市内の近代建造物を中心に対象とすべき建築物等の調査を実施したとのことでありますが、その調査結果についてお尋ねいたします。また、景観形成モデル地区として市内14地区を候補地に選定したとのことでありますが、それは具体的にどちらの地区になるのか、また指定を受けるとどのようなメリットがあるのかをお尋ねいたしまして、第2回目の質問を終わります。

【市長公室長(宮地英征)】 高崎市との合併を検討すべきとのご質問でございますが、両市の今後の合併の流れによっては政令指定都市になる可能性も出てまいります。しかしながら、合併はそれぞれの自治体の自主的な判断によって行われるものです。政令指定都市の条件を満たす規模となると、構成市町村数はかなり多くなると思われますので、これまでに政令指定都市を目指して合併を進めている都市の例を見ましても、市役所の位置や市の名称など住民の皆さんの合意形成に多くの時間を要しております。したがいまして、いずれはそのようなときを迎えなければならないと考えますが、その前に両市ともに、まず広域圏や近隣の町村を中心として合併を進め、それぞれが中核市になって行政基盤が強化できた後に、さらなる住民サービスの向上等を目指して検討すべき課題であると認識をしております。

【都市計画部長(細野茂夫)】 近代建造物調査についてでございますが、群馬県近代化遺産総覧、これは群馬県教育委員会が平成3年にまとめたものでございますが、これによりまして明治末期から昭和前期に建てられました建物をリストアップしまして、具体的には昔の風情を伝えるというような上毛倉庫若宮営業所であるとか、あるいは前橋商品市場倉庫など70件を調査いたしまして、こういったまちの魅力となる建物をまちづくりに活用できるように、あるいは指定に向け指定できるように努力をしていきたいと、このように考えております。

 それから、モデル地区の14地区の具体的な候補地ということでございますが、総社地区、それから橘山周辺、敷島公園周辺、ケヤキ通り、広瀬川河畔、それから鶴光路町の善光寺周辺、山王地区、それから駒形駅周辺、新前橋駅周辺、青梨子町の諏訪大明神周辺、大利根団地周辺、小坂子町の福徳寺周辺、上泉の郷倉周辺、それから大室公園周辺、それぞれの地区と、こういうふうになっております。この景観形成モデル地区の指定を受けることによるメリットとしましては、その地区内の建築物、工作物、それから広告物等の新築、改築等で景観に寄与しているものについては助成を受けることができる。また、景観を壊すおそれがあるなど、良好な景観形成に支障を及ぼす建築行為などは規制ができる、このようになっております。以上でございます。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。第3質問にかえまして、要望をさせていただきます。

 まず初めに、市町村合併についてでありますが、先ほどのご答弁では高崎市との合併については合併特例法の施行期限内には時間的に難しいが、いずれは避けて通れない問題であるとのことであったように受けとめました。しかし、ご案内のとおり、特例法適用によるメリットははかり知れないものがあると思われますので、可能な限りご検討いただきますよう要望いたします。

 次に、景観の保護についてでありますが、前橋市都市景観条例は平成5年に制定され、平成7年には調査を実施したとのことであります。しかし、現時点においては指定には至っていないとのことであります。長期的視野に立ち、前橋市民共有の財産となり得る建築物やふるさと前橋を未来に伝えていくために、一刻も早く指定に向けて取り組んでいただけるよう要望いたします。

 次に、市有土地、施設の有効活用についてでありますが、昨今の大変厳しい財政状況の折、土地開発公社経営健全化計画を進める必要性は理解できます。しかし、現に箱物を手がけることが大変困難な状況の中で、現在あるものを必要最小限の費用で再生し、活用する方法がより現実的かつ有効な手段ではないかと思います。いずれにいたしましても、旧消防本部庁舎が市民がともに知恵を出し合う中で再生され、有効に利活用されますことを切に望みます。

 次に、ボランティアセンターの跡地利用についてでありますが、ハンディを持った子供たちが学校を卒業した後の受け皿がなく、あるいは自立のための宿泊訓練施設もない。こういった問題に、今ハンディを持ったお子さんを抱える親御さんは頭を悩ませております。ぜひボランティアセンターの跡地利用をこれまでややもすると行政による支援が十分でなかったハンディを持った方々のために残していただけるよう、ぜひ再考をお願いするものであります。

 最後に、東地区の都市基盤整備については、先刻申し上げましたように、東地区の好立地条件からいたしますと、今後前橋市全体の人口自然増が見込まれない中で、都市基盤整備によってさらなる発展が期待できる数少ない地区の一つであると思います。地区住民の切なる要望にご理解をいただきますよう何とぞよろしくお願い申し上げまして、私のすべての総括質問を終わります。ありがとうございました。

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