2011.06.21 : 平成23年第2回定例会(第4日目)

【20番(中島資浩議員)】 去る6月9日に開催されました政府の地震調査委員会では、今回の巨大地震が今後国内の地震活動に与える影響について、1)、今回巨大地震の起きた三陸沖から房総沖にかけて日本海溝に近い海域では、今後もマグニチュード7を超える大きな余震が発生するおそれがある。2)、東北から関東にかけての内陸部においても活断層では巨大地震の影響で余震の可能性がこれまでよりも高くなる。3)、巨大地震から時間の経過とともに余震回数は減ってきているものの、いつどこに地震が起きてもおかしくない状況にあると引き続き注意を呼びかけております。
 こういった状況を踏まえて、まず初めに本市の防災対策について何点かお尋ねいたします。まず初めに、組織機構の強化でありますが、新年度より危機管理室を設置いたしましたが、組織体制のさらなる機能強化と指揮管理に万全を図るため、部長級の危機管理監を置くべきと考えますが、いかがでしょうか、ご答弁を求めます。

【総務部長(眞塩浩一)】 危機管理監の設置についてでございますが、本市の危機管理体制につきましては、災害発生時に市長を本部長、副市長を副本部長とする災害対策本部会議を設置し、市長のリーダーシップのもと、災害応急対策を指示していく形となっております。また、極めて急を要する場合や本部会議の招集ができないときは、危機管理業務を所管する総務部長がいわゆる危機管理監の役割を担い、指示、指令を行うこととなりますが、平素、人事組織面も所管しておりますので、緊急時においても迅速かつ柔軟な体制を確立できるというふうに考えております。危機管理業務に特化した危機管理監を置く場合と、通常業務を踏まえ、総務部長が担う場合とそれぞれメリット、デメリットがあると思いますが、今年度に予定しております地域防災計画を見直す際に、その必要性や設置した場合の効果等について改めて検討したいというふうに考えております。

【20番(中島資浩議員)】 内閣や都道府県を中心といたします地方自治体には、危機管理監といった役職を設け、24時間365日、危機管理に当たっているところもあるようでございます。ぜひとも前向きなご検討をお願いいたします。
 次に、避難場所に関連して何点かお伺いいたします。災害時、公助としての役割を果たすためには、災害対策本部の置かれる市役所庁舎、さらにはそれぞれの避難場所が被災せずに指令塔として、あるいは被災者の避難拠点として、しっかりと機能することが重要であります。そこで、まず市役所庁舎並びに避難場所の耐震性についてお伺いいたします。

【総務部長(眞塩浩一)】 まず、市庁舎の耐震化でありますが、昭和56年の新耐震基準に基づき建設されており、安全性については確保してあるというように聞いております。また、本市では防災計画におきまして、地域ごとに1次避難所と2次避難所を指定しておりますが、主に仮宿泊を行う2次避難所につきましては小中学校を充てており、その耐震化率は直近の文部科学省調査結果では78.2%となっております。全国的平均が69.4%ですので、本市は比較的進んだ取り組みとなっておりますが、今後も計画的かつ着実に耐震化を推進していく予定でございます。

【20番(中島資浩議員)】 避難場所となる小中学校の耐震化率は78.2%ということでございますけれども、校舎が90%を超えるのに対しまして、肝心な体育館につきましては40%台と大変低率となっております。このたびの東日本大震災の事例でもよくわかりますように、体育館は避難場所として大変重要な役割を果たしてまいりました。有事の際、避難場所として重要な役割を果たす体育館を含めた小中学校の耐震化をできるだけ早く実施していただきますよう、強く要望いたします。
 次に、防災マップでは2次避難所として市内各小中学校が指定されておりますが、現状ではどれくらいの避難者の受け入れが可能であるのかお伺いいたします。

【総務部長(眞塩浩一)】 現状の防災計画では、収容人数について特段の決めはございませんが、1人当たりの収容基準として2平方メートルを目安に定めているところでございます。

【20番(中島資浩議員)】 1人当たりの収容基準として2平方メートルを目安に定めているということでございますけれども、この場合、現状でどの程度の避難者の受け入れが可能であるかといった細かな想定まではできていないように思います。今後地域防災計画の見直しに当たって、このたびの東日本大震災を教訓に、最大でどれくらいの避難者が2次避難所に来る可能性があるのか、またそれだけの避難者を受け入れるだけの場所が現在の2次避難所だけで確保されているのか等、細かくシミュレーションしていただきますようお願いいたします。
 また、現在の防災マップでは1次、2次避難所が設けられておりますけれども、過日の東日本大震災の際に避難された市民の多くは、最も身近な自治会の公民館に避難されたようであります。それは至極当然な気がいたします一方、避難場所の周知の徹底が図られていなかったといった課題も見えてまいります。いずれにいたしましても、自治会公民館や近くの公園などを含めて、より現実に即した避難場所のあり方を再検討する必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

【総務部長(眞塩浩一)】 避難所の指定につきましては、これまでもお答えしてまいりましたように、もう一度地域の実情を踏まえ、今後の防災計画見直しの際に再検討してまいりたいと考えております。

【20番(中島資浩議員)】 避難場所の見直しに伴いまして、当然耐震化の問題ですとか、あるいは備蓄品等の問題も出てくるかと思われますけれども、今回の巨大地震を教訓にいたしまして、あらゆるケースを想定し、シミュレーションし、総合的な整備をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 なお、一昨年訪れました神奈川県厚木市には、約2万人収容可能な避難広場、備蓄倉庫、耐震性貯水槽、放送施設、非常用トイレ、ヘリポート、防災センター等を備えたぼうさいの丘公園を拠点に、48カ所の防災備蓄倉庫が整備されておりました。そこで、抜本的な危機管理体制、防災体制の整備が求められる中、各地区ごとの避難場所の整備とあわせ、こういったしっかりとした拠点づくりもぜひ必要と思いますけれども、ご所見をお伺いいたします。

【総務部長(眞塩浩一)】 直下型大地震が想定される首都圏の大都市におきましては、大規模災害に備えた防災公園あるいはそれに付随する防災センターを整備し、必要機材や飲料水、非常用食料等を備蓄している例がございます。今回の震災を受けて、本市でも防災体制のあり方等について再検討してまいりますが、防災センターあるいはその防災拠点といったことについて、その役割、必要性も含め、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。

【20番(中島資浩議員)】 他都市に比べまして、比較的自然災害が少ないことは本市の大きな特徴であります。より安全、安心なまちづくりを推進し、市民の生命と財産をしっかり守る、これがひいては今特に危機管理やリスク回避の考え方が求められる企業の立地にもつながり、本市の発展にも大きく寄与するものと思われます。ぜひ今後とも一層危機管理や防災に意を用い、安全、安心といった観点でのまちづくりを実現していただきますよう要望いたします。
 次に、現在の本市における備蓄食料、水、毛布等の配置と在庫状況はどうなっているのか、またその備蓄量については、どのような根拠に基づいてストックしているのかお伺いいたします。

【総務部長(眞塩浩一)】 災害対策備蓄品でございますが、今回の震災で放出した分もございますが、現在の在庫状況といたしまして、非常用食料が約8万食分、また飲料水は市内8カ所に100トンの耐震性貯水槽のほか、市内8カ所に合計5万1,900トンの供給可能な貯水施設が存在しております。そのほか毛布類や各種防災備蓄品は消防局を初め、市内各所の公共施設にストックされております。また、備蓄品ストックの根拠ですが、食料を例に挙げれば約10万5,000食を目標値にストックしております。この根拠としては、全人口に対し、過去の平均的な被災率を掛け、3食を3日分確保するものとして計算しているところでございます。

【20番(中島資浩議員)】 災害対策備蓄品の備蓄状況でありますけれども、毛布は比較的各箇所に配置されているようでありますけれども、食料につきましては備蓄場所36カ所中、非常にごく限られた場所に保管されているのみでございまして、有事の対応にはほど遠いものがあると言わざるを得ません。理想的には災害対策備蓄品は避難場所とセットで配置されるべきものと考えます。今後とも避難場所の再検討とあわせて、災害対策備蓄品の配置もご検討をお願いいたします。
 次に、戸籍簿、住民基本台帳のバックアップについてでありますが、大震災に伴う津波により、幾つかの自治体で行政上の根幹となる戸籍簿や住民基本台帳等、重要なデータが失われ、被災者の把握に苦慮し、結果的に対応のおくれを生じているという報道がございました。本市では、災害等に備え、データのバックアップについてどう対応されているのかお伺いいたします。

【市民部長(中島克人)】 まず、戸籍簿ですが、戸籍法によりまして正本を市役所に備え、副本は1年ごとに法務局に提出しております。戸籍記載完了後の届け出書類につきましては、戸籍法施行規則によりまして1カ月ごとに法務局に提出しております。また、本市の戸籍コンピューターシステムは正副2台のサーバーがあり、毎日業務終了後、正サーバーの戸籍データを副サーバーにコピーしているほか、戸籍データを毎日バックアップテープに記録して、バックアップ体制をとっております。
 次に、住民基本台帳については、戸籍簿のように副本を提出する法規定はございませんが、選挙人名簿の登録、国民健康保険等の資格、印鑑登録など市民の方々に関する事務処理の基礎となる重要なものですから、毎日バックアップ処理を行い、正本データとは別の場所で副本データの管理を行っているところでございます。

【20番(中島資浩議員)】 先ほどの答弁にもございましたけれども、戸籍簿や住民基本台帳は各種市民サービスを提供する上で基礎となる大変重要なデータであります。今回のことを教訓に、いざというときのためにしっかりとした情報管理をお願いいたします。
 次に、放射能汚染対策、特に水道水の放射性物質への対応についてお尋ねいたします。本市では、これまで基準値を超える水道水の放射能汚染は認められておりませんけれども、今後ないとも限りません。そこで、仮に本市の水道水に基準値を超える放射性物質の汚染が認められた場合の対応につきましてお伺いいたします。

【上下水道部長(林豊)】 本市の水道水が指標値を超えた場合の対応でございますが、今後自己水、県央水、衛生環境研究所の蛇口のいずれかの検査で指標値を超えた際は、県との連携を密にしまして、水道局で策定した対応マニュアルに基づいて対策を行いたいと思っております。具体的には市民に飲料を控えるよう、緊急に広報活動を行う予定でございます。また、ヨウ素が100ベクレルパーキログラムを超えた場合は、乳児を持つ家庭への広報と同時に、関係課と連携して各市民サービスセンター及び各支所等で乳児家庭にペットボトル水を配布していきたいと考えております。さらに数値が高く、ヨウ素が300ベクレルパーキログラムあるいはセシウムが200ベクレルパーキログラムを超えた場合は、日本水道協会が全国の水道事業体と災害協定を締結していることから、これを利用しまして給水を行いたいと考えております。
 なお、飲料以外の生活用水でありますふろ、あるいは洗濯、トイレ等の使用は可能であることを周知していきたいというふうに考えております。

【20番(中島資浩議員)】 本市の対応につきましては、基本的には震災の直後、東京都で水道水の放射性物質が基準値を超えた際の対応と同様と理解いたしました。過日の新聞報道によりますと、厚生労働省は水道水の安全宣言を行ったようでありますけれども、このまま原発問題が収束することが大前提ということでありまして、まだまだ予断を許さない状況にあると言わざるを得ません。ぜひとも市民の皆様に前橋市の水を安心して飲んでいただきますよう、しばらくの間は十分な監視を継続していただきますようお願いいたします。
 次に、自然エネルギーへの取り組みについてお尋ねいたします。本市では、これまで公共施設への太陽光発電システムの導入を進めておりますけれども、まず現時点での設置状況についてお伺いいたします。

【環境部長(関根長之)】 本市では昨年までに15の公共施設において太陽光発電システムを導入してございます。今年度は、さらに3施設で導入を予定しております。以上です。

【20番(中島資浩議員)】 現在まで15施設、そして今年度3施設ということでございますけれども、その概要についてお聞かせいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

【環境部長(関根長之)】 概要ということでございますが、現在各施設で導入しております発電システムは、10キロワットから40キロワット程度の発電能力を有しております。電力会社からの電力供給による機能制御を前提としているということでございまして、停電時には発電機能も停止してしまい、実際の災害が発生した場合には、現在の設備では独立運転ができず、電力供給は不可能な状況というのが実態でございます。

【20番(中島資浩議員)】 答弁によりますと、これまで公共施設に設置してまいりました太陽光発電システムは、残念ながら停電時には使えないということでございます。ぜひとも停電時にも発電可能なものに一刻も早く改善していただきますようお願いいたします。
 また、このたびの原発事故に端を発し、脱原発の考えから自然エネルギーへの注目が集まっております。とりわけソフトバンクの孫社長が脱原発を掲げ、メガソーラー発電所の設置を全国の都道府県に呼びかけ、本県を初めとする多くの自治体がこれに関心を寄せております。全国でも有数の日照時間を誇る本市といたしましても大変興味深いところであります。しかし、メガソーラーシステムの一極集中が視野にあるようでありますけれども、震災対策上は、今回のような巨大地震に見舞われた場合、送電システムが壊滅し、肝心な避難場所への送電ができなくなるデメリットを考慮すべきであり、可能な限りこれを避難場所である小中学校の校舎屋上などに設置することが適当と考えますけれども、ご所見をお伺いいたします。

【環境部長(関根長之)】 ソフトバンクのメガソーラーにつきましてお話をいただきましたが、現時点ではメガソーラーにつきましては、50ヘクタールの用地確保の問題や資金の問題、前橋市が手を挙げても採択されるかどうかということもございます。私どもとしましては、メガソーラーだけを念頭に置いた考え方は持ってございません。
 それから、小中学校の屋上などに設置すべきというご提言をいただきましたが、小中学校の屋上も一部授業で使われているというような実態がございます。例えば学校の周りの風景を観察したり写生会を開いたり、太陽などの計測をしたりというようなことがあるようでございます。したがいまして、そういった実態も加味しませんと、授業には差しさわりが出てきてしまいますので、そういった実態をまずは把握してみたいというふうに思っております。
 ただ、避難場所につきましては、太陽光が使えるようにすることはとてもいいことだというふうに思っておりますので、検討は進めていきたいというふうに考えております。以上です。

【20番(中島資浩議員)】 部長の答弁によりますと、私のニュアンスがしっかり伝わっていないのかなと思いましたので、ちょっと申し上げますと、メガソーラーという今話が進んでおりますけども、これを一極、1カ所に集中するという発想ではなくて、メガソーラーというまでの規模にはいかないかもしれないけれども、これまでよりできるだけ大規模なものをせっかくであれば災害時にも有効に使える小中学校の校舎、すなわち避難場所のところに設置することも一石二鳥というんでしょうか、自然エネルギーの有効利用、さらには災害時における発電システムを確保するということで非常に有効なのではないかというふうに考えたから、今回質問申し上げたんですけれども、ただ先ほどご答弁ございましたように、さまざまな課題もあると思います。ぜひともそういうことを含めて、災害時に今回のことを教訓にいたしまして、避難場所でできるだけ支障のない避難生活が送れるようにご検討をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、職員ボランティア休暇についてお尋ねいたします。現在本市のボランティア休暇は、特別休暇として年に5日の範囲内で取得できることとなっております。国では、東日本大震災の被災地におけるボランティア休暇の上限日数を5日から7日に引き上げる特別措置を講じているところでございます。ご案内のとおり、復興支援においては、より長期的な支援が求められております。そこで、本市でも国に合わせて7日とし、よりボランティア休暇を取得しやすい環境を整えるとともに、制度の周知徹底を図る必要があるのではないかと考えておりますけども、ご所見をお伺いいたします。

【総務部長(眞塩浩一)】 ボランティア休暇の日数でございますけれども、本市においても今お話しありましたように、1つの年度において5日以内取得することができるようになっておりますが、この点につきましては、今後の取得状況や職員からの要望等を考慮いたしまして、必要があれば国と同様の特例措置を講じることを検討したいと考えております。
 また、啓発活動についてでございますが、被災地での活動報告を行う場面等もございますので、既に職員には周知しておりますが、さらに周知を続けてまいりたいと考えているところでございます。


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