2003.09.11 : 平成15年第3回定例会

【2番(中島資浩議員)】 総括質問をさせていただきます。

 まず初めに、ごみ有料化についてお尋ねいたします。第1に、その基本的考え方についてでありますが、本市では本年4月、前橋市廃棄物減量等推進審議会に対し、家庭ごみ有料化の導入について諮問されました。これを受けて、同審議会では5回に及ぶ審議を経て、過日8月4日、中島照雄会長よりこれを了とする答申がありました。現在この答申に基づき、担当部課を中心に詰めの作業を進めていると伺っております。そこで、導入後の副次的効果または波及効果と想定される期待値をどのように推しはかっているか、また今後のタイムスケジュール等、実施に向けた取り組みについてどのように考えているかお伺いいたします。

 第2に、市民合意の形成についてでありますが、ごみ有料化はまさに市民生活に直結する極めて重要な政策であり、それだけにその導入効果を、より実のあるものにするためにも、市民の十分な理解と協力が不可欠であり、導入に当たっては市民合意の形成に十分意を尽くす必要があると考えます。そこで、ごみ有料化の導入に当たっては、まず市民合意の形成を第1に考える必要があると思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、市民合意が得られたかどうかの判断基準をどのようにお考えか、あわせてお伺いいたします。

 第3に、リサイクルの促進についてでありますが、有料化の導入とあわせて実施する施策として、市民へのごみ処理手数料収入の還元方法が検討され、現在、1、住民サービスの向上、2、一層のごみ減量を促すための還元方法の2点が掲げられております。しかし、ごみ有料化の趣旨にかんがみますと、後者の一層のごみ減量を促すための還元方法に力点を置いた方が、よりその趣旨になじむものと考えます。そこで、有料化に伴うごみ処理手数料収入は、リサイクルのさらなる推進を前提とする受け皿整備、すなわち剪定枝、生ごみ等の分別回収とリサイクル化、さらには本市第五次総合計画にもうたわれておりますリサイクルセンターの整備等の財源とするべきであり、それがひいては市民負担の軽減につながるものと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 第4に、ごみ処理手数料の設定についてでありますが、ごみ有料化の検討に当たって、全国の県庁所在地、さらには類似都市を中心に事例を調査、研究されているようでありますが、調査の結果、ごみ処理手数料の高低によって、その後のごみ減量効果に差異が見られるようであります。そこで、その相関関係についてどのような傾向が見られるか、またごみ処理手数料の設定に当たっては、より高い導入効果が得られるよう配慮すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 第5に、不法投棄対策についてでありますが、有料化の実施に伴って、一方では不法投棄の増加が懸念されておりますが、その対応策として罰則規定の強化が考えられます。そこで、罰則規定を盛り込んだ条例の整備も検討する必要があると思われますが、ご所見をお伺いいたします。また、警察及び関係機関との連携強化も必要であると考えますが、あわせてご所見をお伺いいたします。

 第6に、小売店との連携強化についてでありますが、家庭ごみの有料化によって想定されるごみの減量化方法として、買い物袋の持参や過剰包装の拒否、店頭回収への持ち込み等が挙げられております。しかし、それらの徹底を図るためには、小売店でのレジ袋有料化や簡易包装の徹底、はかり売りの導入、さらには店頭回収ボックスの設置等、小売店との連携強化が必要不可欠と思いますが、ご所見をお伺いいたします。

 第7に、粗大ごみの有料化についてでありますが、粗大ごみの有料化に伴い、これまでの集団回収をやめ、個別収集のみとするとのことでありますが、本市の調査結果によりますと、1点当たりの処理費用は集団回収では854円90銭、個別収集では2,350円80銭と集団回収に比べ、個別収集の方がかなりコスト高になるようであります。そこで、当局の考え方として、集団回収を行えない地域のことを考慮し、個別収集に統一するとのことでありますが、処理費用単価にこれだけ大きな開きがあることを考えると、たとえ有料化にしたとしても、コスト削減の見地から集団回収との併用を考えた方が得策であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 次に、観光資源の再整備についてお尋ねいたします。第1に、ばら園についてでありますが、ことしのばら園まつりには期間中、23日間で約30万人の方が訪れ、大変盛況であったとのことであります。ばら園は知名度も高く、周辺の自然環境にも大変恵まれた市内でも有数の観光スポットの一つです。

 一方、管理面では、昨年のばらサミットを契機に、大幅な株のリニューアルを進めつつあるようでありますが、株の老朽化も否めない状況とのことであります。つきましては、今後の事業展開として、バラの開花時期以外の対策も必要であると考えます。そこで、このばら園を通年型のパークとして、そしてまた市民の憩いの場としての要素も盛り込んだ本市の観光スポットとして、重点的に整備することを検討する時期に来ていると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 第2に、萩原朔太郎生家跡地についてでありますが、朔太郎の生家は当初前橋テルサの国道17号線を挟んだ相向かいの場所にありました。そこには現在亡き伊藤信吉氏の書による記念碑のみが建てられており、生家は現在敷島公園内に移築されております。そこで、朔太郎生家はどのような経緯で敷島公園内に移築されたかお伺いいたします。

 最後に、美術館の設置についてお尋ねいたします。市有美術品の現状についてでありますが、本市には美術館建築構想があり、その構想のもと、美術品の収蔵に取り組んできたようであります。そこで、1、これまでの本市における美術品収集の取り組みとその現状、2、収集の際の基本的考え方、3、収蔵品総数とその価格、4、それらの保管場所と保管状況、以上4点についてお伺いいたしまして、第1質問を終わります。

【生活環境部長(藤井正彦)】 ごみ有料化につきましてのご質問に順次お答えさせていただきます。

 まず初めに、有料化導入に伴う効果でございますが、ごみ減量化、リサイクル化が促進され、実施都市事例から推測しまして可燃ごみで20%、不燃ごみで10%の減量効果を期待しております。これによりまして、最終処分場の延命化が図られ、使用期間が1年延びるごとに財政効果として年間約3億4,000万円が見込まれるほか、ごみ処理経費のコスト縮減が図られるものと考えております。また、市民負担の不公平感の解消につながるものと考えております。今後のスケジュールなどの取り組みでございますが、基本的には実施時期や実施方法などの制度につきましては、議会にお諮りして実施することとなりますが、ごみ有料化が導入されるまでの間、計画的に市民説明会や施設見学会などを通じまして市民啓発に努めてまいりたいと考えております。

 次に、市民合意についてでございますが、ごみ有料化の導入に当たりましては、市民合意が大切であることは十分認識しております。したがいまして、市民合意形成につきましては有料化導入前後を問わず、広報を通じた周知を初めとして、ブロック別に行政自治委員さん及び環境美化推進員さんに対する説明会の実施や各自治会単位の住民説明会を実施したり、各種団体等からの要請に基づく説明会を実施したりすることで市民の理解と協力を得られる努力をしたいと考えております。

 次に、有料化で得ました手数料収入につきましては、有料化に伴い導入を検討している減量化支援策や市民サービス向上策などに充てるほか、ごみ処理経費に充当する考えでございます。したがいまして、今までごみ処理経費に充てられておりました一般財源の一部が福祉や教育などの事業に振り向けられるものと考えております。

 次に、実施都市事例に見るごみ処理手数料設定と減量効果との関係でございますが、料金が高いほど減量効果が高く、その継続性も高い数値を示しております。しかし、手数料は市民にコスト意識を高めていただくための費用負担でございますので、市民負担が大きくならないような配慮をしてまいりたいと考えております。

 次に、不法投棄の罰則の関係でございますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定されていることから、法律で対応できるものと考えております。

 なお、他都市の事例では不法投棄防止条例を設け、罰則条項を規定している自治体もございますが、運用後、警察との連携がうまくいかず、十分に機能していないのが実態のようでございますので、今後も研究させていただきたいと思っております。また、集積所や空き地への不法投棄防止ということでは、新たに監視員制度の導入で対応してまいりたいと考えております。

 次に、小売店との連携のご質問でございますが、小売店でのレジ袋の配布方法や簡易包装の徹底など事業者への働きかけを従来にも増して行ってまいりたいというふうに考えております。

 次に、粗大ごみの関係についてでございますが、戸別収集することで市民の排出する機会がふえ、サービスの拡大等を考えております。また、集団回収を残してというご質問でございますが、集団回収を残した場合には手数料を納めて、排出された粗大ごみの管理で自治会等の負担が大きくなるものと考えております。

【建設部長(高橋利三郎)】 ばら園は、昭和46年の開園以来、200種類、2,000本のバラを中心に梅、フジ、ツツジ、ボタンなどの花木が植えられ、また昭和54年には熱帯温室も整備されまして、年間を通じて多くの皆さんに観賞、散策をお楽しみいただいております。特に5月中旬から6月上旬にかけてのばら園まつりの期間中におきましては、県内外から大変多くの方々が訪れております。しかしながら、バラ花壇以外の花木園の規模が小さいことや、熱帯温室の展示内容が固定化されていることなどの理由から、春と秋のバラのシーズン以外では若干来園者が少なくなっている傾向が見られます。こうした実情に照らしまして、1年を通じて来園者の絶えないばら園づくりは、本市の観光拠点整備の観点からも大変重要な課題と認識しておりますので、ばら園はもとより、ボート池や松林、駐車場なども含めました敷島公園全体の再整備のあり方につきまして、地元や観光協会などとも連携を図りながら研究してまいりたいと考えております。

【指導部長(石川克博)】 朔太郎の生家移築の経緯についてですが、生家の一部である書斎、離れ座敷、土蔵、それぞれ当時の所有者から寄附を受け、市有地に移築しました。後に萩原朔太郎記念館構想のもと、朔太郎の代表作である詩、帰郷の詩碑を建立したことや、利根の松原という詩もあり、適地として敷島公園内に移築復元をし、昭和55年に萩原朔太郎記念館として公開しています。

 次に、教育委員会所有の美術品については、一部の寄附を除きまして昭和56年度から収集を行い、現在では約400点ほどございます。収集の基本的な考え方は、郷土ゆかりの作家で全国的な活躍をされた物故作家の作品を収集の対象とし、平成6年からは専門家で構成する前橋市収蔵美術品専門委員会での検討を経た美術品を収集の対象としています。平成14年度までに購入または寄附により取得した美術品は、当時の評価額の合計で約9億800万円であります。保管については、日本画の1点を専門業者に保管委託しているほかは、温湿度などの環境が収蔵に最も適している市有施設で保管しております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。第2質問をさせていただきます。

 初めに、ごみの有料化についてさらにお尋ねいたします。第1に、ごみ処理手数料についてでありますが、平成16年12月の合併を目指している大胡町、粕川村、宮城村では、既にごみ有料化を導入しており、そのごみ処理手数料は45リットル袋で50円とのことであります。そこで、今後合併に向けて制度統一を図らなければならないという点を考慮いたしますと、現実的には同様の手数料設定が一つの目安になるのかなと思いますけれども、その点についてお考えをお聞かせください。

 第2に、有価物回収拠点の設置とその回収頻度についてでありますが、設置場所として市役所と東部、西部、南部の各清掃事務所を検討しているということでありますけれども、できるだけ市民に身近な場所に設置するということが望ましいと思います。そこで、設置場所として小学校あるいは地区公民館等も検討してみてはと考えますが、ご所見をお伺いいたします。また、その回収頻度は各回収拠点、月1回程度ということのようでありますが、市民に気軽にご協力をいただくというために、常設型にすべきと考えますが、あわせてご所見をお伺いいたします。

 次に、観光資源の再整備についてさらにお尋ねいたします。第1に、ばら園についてでありますが、よいバラを育成するためには大変手間を要するとのことであります。その成果はかけた手間に比例すると伺っております。そこで、昨今の厳しい財政事情の中、現在の育成管理の状況についてお伺いいたします。

 第2に、萩原朔太郎生家跡地についてでありますが、生家は理想的にはもともとあった場所にあるべきと考えます。全国的にも知名度の高い朔太郎生家跡地は、本市にとって観光スポットとしても大変重要かつ大切な場所であると考えます。そこで、朔太郎の生家跡地についてどのようなお考えかお伺いいたします。

 最後に、美術館の設置についてさらにお尋ねいたします。美術館の設置についての基本的考え方についてでありますが、本市では美術館建築構想について、昭和62年から調査、検討が始められたとのことでありますが、この構想については第五次総合計画にも位置づけられております。高額かつせっかくの収蔵品を可及的速やかに市民の皆様に公開することが必要と考えます。そこで、美術館の設置についての基本的考え方と今後の取り組みについてご所見をお伺いいたしまして、第2質問を終わります。

【生活環境部長(藤井正彦)】 ごみ処理手数料の料金の設定につきましては、合併町村との調整は必要となりますが、額の設定につきましては実施都市の事例を参考に決めさせていただきたいと考えております。

 次に、有価物の拠点回収につきましては、集団回収の機会のない市民や機会を逃してしまった市民に機会を提供するということでございまして、まずは市役所と清掃事務所で対応し、実施後の経過を見ながら検討してまいりたいと考えております。

【建設部長(高橋利三郎)】 ばら園の現在の育成管理の状況でございますが、ご案内のとおり、バラをきれいに咲かせるためには土づくりから老朽株の植えかえ、施肥、病害虫の防除、剪定など1年を通じて多くの手間をかける必要があります。現在は都市公園事務所の直営体制のもとでばら園担当を2人選任いたしまして、中心的に作業を行いますとともに、繁忙期には他の職員が応援に入るという形で全力を挙げて日常管理に努めております。今後はさらにすぐれた育成管理の方法等につきまして、専門家のご意見等もお聞きしながら研究してまいりたいと考えております。

【指導部長(石川克博)】 朔太郎の関係ですが、現在利根の松原の景勝地にある詩碑と記念館を多くの人が訪れ、朔太郎の詩の世界に触れることのできる貴重な環境として定着していると考えております。生家跡に移築復元する意義もあると思いますが、過去に取得の打診があり、断念した経緯があります。現在は敷島公園内の萩原朔太郎記念館周辺も一体的な文学環境が醸成されておりますことから、現在地での記念館の活用や萩原朔太郎賞など関連の諸事業とあわせて顕彰に努めたいと考えております。

【市長公室長(宮地英征)】 美術館の建設についてですが、本市の財政状況などを考慮すると、新たなハード整備は大変難しい状況ですが、本市にとってふさわしい美術館あるいは美術館の要素を備えたギャラリー等を念頭に置きつつ、今後も情報収集や職員同士が知恵を出し合いながら継続的に検討してまいりたいと思っております。

【2番(中島資浩議員)】 ありがとうございました。最後に、何点か要望をさせていただきます。

 まず初めに、ごみの有料化について要望させていただきます。私は、ごみ有料化の最大の目的は、私たちの美しい地球を守ること、前橋の美しい自然を壊すことなく、きちんと後世に伝えていくこと、このことに尽きると考えております。本市では新最終処分場の土地の確保と整備で約74億5,000万円の多額の費用を要しました。それに伴う荻窪地区開発整備事業費を加えると、新最終処分場の建設関係費は約117億7,000万円にも上ります。つまり私たちはこれだけ多額の費用をかけて前橋の美しい自然をみずから壊していると言っても過言ではありません。これほどばかげたことはないというふうに考えております。このままいくと、平成30年には新最終処分場もごみでいっぱいになってしまうということでありまして、また新たな最終処分場を確保し、整備しなければならないということであります。前橋の美しい自然をこれ以上破壊することなく、私たちの子孫にきちんと伝えていくためにも、より実効性のあるごみ有料化制度の導入を要望いたします。

 次に、観光資源の再整備について要望させていただきます。第1に、ばら園についてでありますが、ばら園が本市を代表する観光スポットの一つであるということは言うまでもありません。しかし、その一方でまことに残念ながら、現時点においてはそれにふさわしい受け皿は整っていないと言わざるを得ません。例えば大型バスも駐車可能な駐車場とその案内表示の整備が進めば、さらなる観光客の獲得も期待できましょうし、あるいはまた前橋の物産を販売、提供する土産物店や飲食店があれば、経済効果も見込めるんじゃないかという声も耳にします。ぜひばら園の持つ、本市を代表する観光スポットとしての高い潜在能力を最大限生かすべく、あらゆる手段を駆使いたしまして、抜本的な再整備の検討を要望させていただきます。

 第2に、萩原朔太郎生家跡地についてでありますが、本市のキャッチフレーズが水と緑と詩のまち前橋であることはご案内のとおりでありますが、その反面、まちづくりに朔太郎を生かし切れていないという感がいたしております。中心市街地には文学館があり、また広瀬川沿いには朔太郎にまつわる多くの詩碑もあります。仮に朔太郎の生家が本来の場所にあれば、中心市街地に一つの回遊性が生まれ、その活性化にも寄与するものと考えます。前橋の個性を生かしたまちづくり推進のため、後々の朔太郎生家跡地の整備を念頭に、今はまず土地の確保をしていただきますよう要望させていただきます。

 最後に、美術館の設置について要望させていただきます。本市は多くの大変貴重な収蔵品を所有していながら、展示スペースがないのは大変残念なことであります。また、美術品の保管には本来その保管のための専用の施設が必要不可欠であります。しかし、財政難の折でもありますので、美術館の設置に当たっては現有施設を利活用することも検討してみてはいかがかと思います。例えば旧煥乎堂は大変著名な建築家、白井晟一氏により設計された大変趣のある貴重な建築物であり、これを市立美術館として活用してはとの意見もあります。

 なお、朔太郎生家跡地あるいは旧煥乎堂跡地の取得に際しましては、市有地であります旧消防署跡地との等価交換も検討していただきますよう、重ねて要望させていただきまして、すべての質問を終わります。ありがとうございました。

戻る